純米大吟醸 伊賀産山田錦「志摩」

志摩時間 2023年秋号より
 

名張市赤目町にある日本の滝百選にも選ばれた赤目四十八滝は上流に瀑布が連なり、神秘的な美しさに包まれた場所です。
 

赤目四十八滝をご案内いただく杉本隆司(右)さんと龍哉(中)さん

4年目を迎えるホテルオリジナル日本酒「志摩」を手掛けるのは、明治初年から赤目町で酒造りを行う瀧自慢酒造。4代目社長の杉本隆司(たかし)さんとご子息で専務の杉本龍哉(たつや)さんに酒造りの源でもある赤目四十八滝を案内いただきました。

風にそよぐ木々の緑に光が反射し、滝や川には森で磨かれた水が流れます。

「瀧自慢の酒には平成の名水百選にも選ばれた水が欠かせません」と隆司さん。瀧自慢の仕込み水は赤目四十八滝の伏流水で硬度は5〜7度。クリアで優しい口当たりです。

また豊富な水量はこの地域で生産されるブランド米「伊賀米」や、今回の酒造りにも使われる酒米「山田錦」も育んでいます。

酒蔵に戻り今回醸す純米大吟醸「志摩」へのこだわりを伺いました。隆司さんは「恵みの水の良さが際立つ味、そして酒米や酵母にもこだわるつもりです」。通常の純米大吟醸は精米歩合50%以下ですが瀧自慢では伊賀産山田錦を45%まで削り、雑味のない気品のある香りに。また三重県産の5種の酵母(MK1〜MK5)の中から2種を組み合わせて使用します。

杉原シェフソムリエは「柔らかな水で仕込んだなめらかな口当たりに加えバナナやメロンのような風味はMK1酵母、またMK3酵母はリンゴのような華やかな香り。

2種類の酵母を使うのは高い技術が必要だと思います」。

龍哉さんは「香りが強いMK3はMK1より発酵する力が弱いため、同時に入れるとMK1の特性が勝ってしまいます。なのでMK3を先に入れて発酵させ、頃合いを見計らってMK1を入れます。タイミングは蔵の室温や湿度、気温などに左右されるので父と二人三脚で進めています」。

6年前に東京から蔵に戻った龍哉さんの前職は、全国の日本酒を扱う流通業。

「東京でも瀧自慢の飲み飽きない味わいには父のこだわりが表れていると感じました」。

わずか9名の作り手で酒造りを行う瀧自慢は昨年に続き令和4酒造年度全国新酒鑑評会で2年連続で金賞を受賞。「酵母の使い方などを工夫し華やかな味ではなく、素材を活かした味わい深い酒造りが評価されたのだと思います」と隆司さん。

 

塚原和食総料理長は「伊勢海老やあのりふぐなど、滋味深い素材に合わせたいですね」。

樋口総料理長は「柔らかな旨味と程良い香り。香りが立ち過ぎると料理が限られてきますが、深みがあり味のバランスが良いので料理の幅も広がります。良質な水ならではのクリアな味わいで、貝や海老など個性のある食材も引き立ててくれそうですね」。

自然が磨く豊かな伏流水、150年以上培ってきた酒造りの経験を活かし、日々の研鑽で料理に寄り添う味を追求した日本酒「志摩」にご期待ください。
 

志摩観光ホテル オリジナル日本酒 第四弾 純米大吟醸 伊賀産山田錦「志摩」

2024年2月下旬より販売予定

シェフソムリエ 杉原 正彦 2011年全日本最優秀ソムリエコンクールセミファイナリストなど数々のコンクールで入賞。伊勢志摩サミットでは、日本ワイン選考委員会と飲料サービス責任者を担当。JSAソムリエ・エクセレンス。

 
伊勢志摩の地は、ゆるやかな時間の流れに合わせて、表情を少しずつ変えながら、四季折々の味覚や色彩を私たちに届けてくれます。
そんな季節の移ろいとともに、志摩観光ホテル季刊誌「志摩時間」では、地元の文化や豊かな自然などを通じて、伊勢志摩の四季をご紹介しています。

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