伊勢志摩のブランド果実
温暖な気候を活かした「南張メロン」
志摩時間 2021年夏号より
ホテルから車で約20分、志摩市浜島町南張には南張海水浴場があり、夏は観光客で賑わう観光地です。そこでは温暖な気候を活かしたブランドメロン「南張メロン」が約90年前から栽培されています。
品種はマスクメロンで、日光をより多く取り込むために、南側の屋根の面が広く作られた温室ハウスで育てられています。10棟のハウスで年間約1万個のメロンを生産・出荷している川口農園の4代目、川口芳幸さんを訪ねました。
メロンの苗を植えて約20日が経つと、1本の木に3つの実がなるよう手作業で受粉が行われます。その後2〜5㌢程に成長した実の中から、2つは摘果して残りの実に養分を集中させます。「摘果をする基準は何ですか」と樋口総料理長が尋ねると「メロン特有の育ち方を見極めています。メロンは縦に成長するので、ラグビーボールのように横長のものを残すと形良く育つんですよ」と川口さん。受粉から50日程でメロンが出荷されると、ハウス内では高温の蒸気による土の滅菌と堆肥などを行った後に、次の苗を植えていきます。
産地で語り合う、生産者と料理人の挑戦。
川口さんは「この地域の南張メロン農家は元々は13軒ありましたが、今では3軒です。次世代に繋げていくために、南張メロンをもっと多くの方に知っていただく取り組みを続けなければと感じています」。樋口総料理長も「地元の名産品はまだたくさんあります。私たちも積極的に地域の魅力を伝えていきます」と語りました。
総料理長 樋口 宏江 | 2014年に志摩観光ホテル総料理長に就任、2016年伊勢志摩サミットでワーキングディナーを担当。2017年に農林水産省料理人顕彰制度、料理マスターズブロンズ賞に女性初、三重県初の受賞。 |
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和食総料理長 塚原 巨司 | 1987年都ホテル大阪(現シェラトン都ホテル大阪)日本料理「都」、「うえまち」で研鑽を積む。2016年伊勢志摩サミットにて和食料理の提供に携わる。2019年、志摩観光ホテル和食総料理長に就任。 |
南張メロンとヴィシソワーズ 生ハムを添えて
総料理長 樋口宏江がフレンチの食材としてメロンの魅力を表現しました。
メロンの上品な甘味や食感は、塩気のある生ハムとの相性が良いと知られています。またメロンを甘口の白ワイン、ソーテルヌで作るジュレと合わせることでエレガントな味わいのデザートになります。今回はそれぞれの持つ味の調和をヴィシソワーズ(ジャガイモの冷製ポタージュ)でまとめました。優しい味の相乗効果に、黒胡椒のインパクトで味を引きしめるのがポイント。成長の過程で摘果された小さなメロンも使い、若くて歯ざわりの良い食感も活かすことで繊細で奥行きのあるひと皿に仕上がりました。
フレンチレストラン「ラ・メール」にて、6月・7月のすべてのコースでお召し上がりいただけます。
フレンチレストラン「ラ・メール」 | ザ ベイスイート5F ランチ 11:30-14:30(13:00までのご入店/貸切のみ) ディナー 17:30-22:30(L.O.20:30) |
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- 入荷状況によりご用意できない日がございます。
志摩観光ホテル季刊誌「志摩時間」
そんな季節の移ろいとともに、志摩観光ホテル季刊誌「志摩時間」では、地元の文化や豊かな自然などを通じて、伊勢志摩の四季をご紹介しています。