半泥子 廣永窯
半泥子と志摩観光ホテル
志摩時間 2021年春号より
「東の魯山人・西の半泥子」と称される三重県津市の文化人、川喜田半泥子(1878−1963・本名は久太夫政令)。
江戸時代に木綿問屋などで財を成した伊勢商人の豪商・川喜田家に生まれ、百五銀行の第6代頭取を務め、スーツ姿で轆轤(ろくろ)を引く粋人として語り継がれています。
おれはろくろのまわるまま
石水博物館に保管されている「愚庵」の書軸
石水博物館では半泥子の作品が常設展示され「愚庵」の書軸など、半泥子に関する書画や資料も保管されています。
半泥子は幼くして両親と別れ、1歳で川喜田家当主を襲名します。若くから臨済宗の僧、勝峯大徹(かつみねだいてつ)禅師のもとに参禅。禅を学ぶとともに茶の湯を嗜み、後に人間国宝となった美濃の荒川豊蔵、萩の三輪休和、備前の金重陶陽と作陶連盟「乾比根会(からひね)」を結成して陶芸家を支援するとともに研鑽を重ねました。書画、茶道、陶芸とマルチな才能を発揮した半泥子は、「昭和の光悦」とも評されています。
半泥子廣永窯の作品を展示・販売するギャラリー仙鶴では、半泥子やその意を継いだ陶芸家・坪島圡平(1929−2013)、主宰の藤村州二の作品などが並びます。
そのなかで目を引くのは半泥子作の狛犬。頭に大きな瓦状の板が乗ったこの一見変わった狛犬は焼き上げるとき、何かの拍子で窯の中の棚板が落ちたことでこのような姿になったと言われています。半泥子は窯や火に神が宿るという思想からこの姿を面白がり作品として残しました。この何者にも囚われない作風は、近代陶芸の父と呼ばれています。
独特の美的感性がある半泥子は、料理人と交友関係を持つことを好みました。世界の要人が御用達として通う銀座の天ぷら店のために轆轤(ろくろ)を引いたり、日本西洋料理界の草分け的な東京の店を百五銀行本店に誘致し、出張所を開設させるなど美食家の一面も持ち合わせていました。
一日清閑一日福(いちじつのせいかん いちじつのふく)
〜心穏やかに静かな時間を持つことは幸せである〜
石水博物館 | 川喜田家の当主が代々蒐集してきたコレクションと川喜田半泥子の名品の数々が展示されています。 津市垂水3032-18 |
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ギャラリー仙鶴 | 作家の一点物から日常使いの品まで、多彩に取り揃えており、半泥子作品もご覧いただけます。 津市東丸ノ内33番1号 津フェニックスビル1階 |
伊勢海老と桑名産ハマグリのスープ仕立て
鉄板焼き「山吹」料理長がお届けする春の一品
栗野正也の料理ストーリー
半泥子廣永窯を訪問し、陶芸への深い造詣と粋人の遊び心を感じました。そこでペアディナーを「対」というテーマにし、鉄板焼きの料理で表現。廣永窯の魅力である自然な風合いと曲線に加え、鮮やかな朱色が美しい二つの器を対に見立て伊勢海老、春を告げる二枚貝、桑名のハマグリを使い伊勢海老と一緒にボイルします。伊勢海老は程よい食感で身を取り出します。伊勢海老の味噌の旨味でコクを加えたソースは、泡状に乳化させスープとしても愉しめるよう軽くクリーミーに仕上げます。
鉄板を自在に使いながら新しい発想で仕上げたひと品。器と一体となった料理の美しさと遊び心を感じてください。
<三重の食材と春の味覚ペアディナー (3月〜5月)でお召し上がりいただけます>
料金 | お二人様:¥60,742 お一人様追加 ¥32,428 |
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鉄板焼きレストラン「山吹」 | ザ クラブ2F(要予約 前日20:00まで) ランチ 11:30-14:30(L.O.14:00/貸切のみ) ディナー 17:30-22:30(L.O.20:30) |
リアン・山吹 料理長 栗野 正也 | 1994年京都調理師専門学校卒業後、京都、奈良、滋賀のホテルで研鑽を積み、2020年より鉄板焼き山吹・リアン料理長となる。 |
志摩観光ホテル季刊誌「志摩時間」
そんな季節の移ろいとともに、志摩観光ホテル季刊誌「志摩時間」では、地元の文化や豊かな自然などを通じて、伊勢志摩の四季をご紹介しています。