答志島トロさわら
森が育む、自然の恵みが詰まった伊勢湾
志摩時間 2020年冬号より
鳥羽市の離島、答志島(とうしじま)は、伊勢湾に太平洋からの黒潮がぶつかる恵まれた漁場を持ち、漁師や海女が多く暮らしています。2018年に「答志島トロさわら」がブランド化され約8割を都市部に出荷するなど注目されています。他の海で捕れるさわらに比べ格段に脂肪率が高いことが特徴の答志島のトロさわらは「伊勢湾の奇跡」とも呼ばれています。
漁師の意識を変えた、トロさわらのブランド化
答志島の北側に位置する答志漁港は広い港にたくさんの生け簀があり、時期によって魚種が変わりながら約100種の魚介類が水揚げされています。鳥羽磯部漁協答志支所長の濱口輝満(てるみつ)さんと、同漁協企画販売促進担当の久保田正志(まさし)さんにトロさわらがブランド化されたことによる島の変化を聞きました。久保田さんは「今まではフック状の金属針(鉤・かぎ)で、海面に上がったさわらの頭を目がけ、引っかけて釣り上げていました。そうすると身に鉤が刺さる場合もあり、ブランド魚として出荷するためには改善が必要でした。そこで釣り上げる際、さわらに傷をつけない様に、身を極力触らずに捕らえる漁具を漁師さんたちが独自に開発しました」。
釣り上げたさわらは船上で活締めと血抜きを行いすぐに氷水で冷やすことで、鮮度と品質を保つことができます。そして全てのさわらを脂肪含量測定し選別しています。濱口さんはブランド化したことで地元漁師の意識が変わったといいます。「若手漁師が自ら漁の勉強や練習を行うようになり、トロさわらの認定漁師が増えました。今ではトロさわらを求めて観光客も島へ訪れます。島全体で盛り上げていきたいですね」。話を聞いた樋口総料理長は「島から出荷される自分たちの魚に誇りを持ち、価値を上げる努力をされていますね。どなたとお話をしても『どこにも負けない』という気概を感じました。そうした想いを大切に調理し、お客様にお届けしたいです」と、意気込みを語りました。
総料理長 樋口宏江の料理ストーリー「トロさわらとわかめのヴァプール 柑橘のソース」
答志島トロさわらの持つ脂乗りと、丁寧に水揚げされた繊細な身の柔らかさをお伝えしたいと2つの味をご用意しました。脂の乗った腹の部分は、軽く炙るだけで柔らかな生の美味しさを活かします。口に運ぶと香ばしさを感じ、噛めばさらっとした脂が溢れ出し、上品な味の余韻に浸れます。背の身は1分程スチームして旨味を閉じ込め半生の食感にすることで、柔らかな食感が愉しめます。答志島名産のわかめを添え、ソースには南伊勢の柑橘を使い爽やかに仕上げました。産地では主に刺身で食されていることから、新鮮なさわらの素材本来の特徴を活かした火入れを施すことで、トロさわらの魅力を引き出した一皿です。
2020年12月・2021年1月の「デギュスタシオン」コースでお召し上がりいただけます。
フレンチレストラン「ラ・メール」 | ザ ベイスイート5F ランチ 11:30-14:30(13:00までのご入店/貸切のみ) ディナー 17:30-22:30(L.O.20:30) |
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- 入荷状況によりご用意できない日がございます。
和食総料理長 塚原巨司の料理ストーリー 「トロさわらのお造り三品」
答志島トロさわらは一日寝かせることで身に脂が馴染み、とろけるような食感になります。背の身は強火で皮目を炙り香ばしい焼き霜作りに。イクラの食感をアクセントにした山掛けで味の違いもお愉しみください。腹の身は海苔の産地答志島の漁師さんおすすめの磯辺巻きにしました。パリっとした焼き海苔にさわらの脂は相性が良く磯の香りが広がります。
2020年12月・2021年1月の単品メニューでお召し上がりいただけます。
料金 | ¥3,800(¥4,598) |
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和食「浜木綿」 | ザ ベイスイート4F ご昼食 11:30-14:30 (13:00までのご入店/貸切のみ) ご夕食 17:30-22:30 (L.O.20:30) |
- 入荷状況によりご用意できない日がございます。
総料理長 樋口 宏江 | 1991年志摩観光ホテル入社。2008年ベイスイート開業とともにフレンチレストラン「ラ・メール」のシェフとなる。2014年に志摩観光ホテル総料理長に就任、2016年伊勢志摩サミットでワーキングディナーを担当。2017年に農林水産省料理人顕彰制度、料理マスターズブロンズ賞に女性初、三重県初の受賞。 |
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和食総料理長 塚原 巨司 | 1986年博多都ホテル入社。和食「四季亭」、1987年都ホテル大阪(現シェラトン都ホテル大阪)日本料理「都」、「うえまち」で研鑽を積む。2016年伊勢志摩サミットにて和食料理の提供に携わる。2019年、志摩観光ホテル和食総料理長に就任。 |
志摩観光ホテル季刊誌「志摩時間」
そんな季節の移ろいとともに、志摩観光ホテル季刊誌「志摩時間」では、地元の文化や豊かな自然などを通じて、伊勢志摩の四季をご紹介しています。