伊賀・名張の酒蔵探訪〈vol.2〉
過疎集落と若戎酒造が取り組む地域創生。
志摩時間 2019年冬号より
三重県は西側一帯に鈴鹿山脈や布引山地などの山が連なることで酒造りに適した伏流水に恵まれています。三重県の地酒はG7伊勢志摩サミットでも使われたことで全国から注目が高まり、世界へ向けて出荷する酒蔵もあります。県北西部に位置し、忍者で有名な伊賀市や平成の名水百選に選ばれた赤目四十八滝がある名張市は四方を山に囲まれた盆地で冬は寒く、県内でも酒蔵が多い地域です。今回は、伊賀、名張地域の酒蔵を巡り、酒造りのこだわりや日本酒を介した地域創生などをご紹介します。
若戎(わかえびす)酒造
道行竈で神の穂収穫の様子 写真:道行竈の酒造り~南伊勢地域連携日本酒プロジェクト~Facebookより
道行竈産の酒造りを見学する樋口総料理長と製造部 坂本隆さん
食を通じて地域を生かし合う。そんな時代が始まったのかも知れません。
千田 良仁 先生 | 皇學館大学 現代日本社会学部 教授。 香川県さぬき市出身。専門は農林漁業経済学、地域イノベーション論。全国の中山間地域でヒト・モノ・カネのコーディネートを通じた地域資源の発掘・利活用による地域活性化の支援、および大学と地域の連携によるイノベーション創出をテーマに研究、活動を行っている。地方創生アドバイザー(久慈市、明和町、吉賀町)を兼務。 |
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奏で合う地域の美味
志摩の海の幸に、伊賀、名張の地酒が寄り添うペアリング。フレンチに日本酒を合わせることで、今までとは違った料理の魅力が引き出されます。
伊勢海老のソテーには、ほうじ茶のソースを。ほうじ茶の持つふくよかな香ばしさが海老の甘味を包みます。もち麦のリゾットには伊勢茶の茶葉を加え、お茶の栄養をまるごといただけます。じっくりと時間を掛けた酒母の「育元 純米吟醸 真秀」が持つ深い香りと深みのある味わいが同調することで料理の香ばしさが膨らみます。三重の海、山、里それぞれの魅力が活かされた一品です。
三重ブランドあのりふぐの白子と身を使ったポワレは、春菊のソースで、ふぐの旨みに爽やかさをプラス。同じく香ばしい香りの「瀧自慢 辛口純米 滝水流(はやせ)」を合わせます。
あのりふぐのア・ラ・ミニッツはサラマンダーでサッと火を通し、凝縮した旨みに柑橘のソースを合わせ、程よい食感とともに軽やかに愉しめる一品。新緑や白玉団子のような上品な香りの「純米大吟醸 半蔵 神の穂」が、ふぐの旨みを広げます。
料理人の技を尽くし食材の味を引き出した料理は輝きを放ち、地域のお酒と合わせることで、食す人や生産者が料理を介して歓びを分かち合えます。 食に関わる地域のプロフェッショナルの想いが重なり合う料理には、それぞれに深みのある地域の物語が詰まっています。そこには、豊饒な海や歴史ある酒蔵の風景を感じることができます。
あのりふぐと伊勢海老ディナー
期間 | 2019年10月15日(火)〜2020年2月29日(土) |
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料金 | ¥25,300(¥30,613) |
フレンチレストラン「ラ・メール」 | ザ ベイスイート5F ランチ 11:30-14:30(13:00までのご入店/貸切のみ) ディナー 17:30-22:30(L.O.20:30) |
- 要予約(2日前 18:00まで)
- 除外日 12月27日(金)〜1月5日(日)
- 入荷状況により販売日が限られる場合があります。
御食つ国(みけつくに)会席
冬の味覚は杉原シェフソムリエおすすめの三重の地酒とともに。あのりふぐや上品な甘味の伊勢海老のお造りには、「純米大吟醸 瀧自慢」を。華やかな香りとやさしい酸味がふぐのポン酢との相性も良く、すっきりとした料理の余韻を愉しめます。
真珠貝の貝柱や車海老など、季節の食材が彩りも鮮やかに盛られた八寸には、果実のような華やかな風味やヒノキのようなフレーバーがある「特別純米酒 半蔵 神の穂」を。
ムロアジなどをブレンドすることで力強い味となる志摩産かつお節と、伊勢どりの出汁に吉野葛を合わせた伊勢海老と鮑の陶板鍋には、濃厚で芳醇な味わいの若戎酒造「育酛 純米吟醸 真秀(まほ)」を約40度の燗で。燗にすることで甘味が増したふくらみのある米の風味が、出汁と素材が織り成す奥深い味を引き立たせます。
冬の御食つ国会席 ※要予約(前日 18:00まで)
料金 | お一人様 ¥25,100 (¥30,371) |
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期間 | 2019年12月〜2020年2月 |
和食「浜木綿」 | ザ ベイスイート4F ご昼食 11:30-14:30 (13:00までのご入店/貸切のみ) ご夕食 17:30-22:30 (L.O.20:30) |
志摩観光ホテル季刊誌「志摩時間」
そんな季節の移ろいとともに、志摩観光ホテル季刊誌「志摩時間」では、地元の文化や豊かな自然などを通じて、伊勢志摩の四季をご紹介しています。